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徳之島の戦後

いま、普天間飛行場(基地)の移設問題で揺れる徳之島は、
奄美群島に属する、面積約250㎢・人口約2万6,000人の島です。
亜熱帯性の気候・植生・生態系は沖縄諸島と共通し、
言語的にも琉球方言に近く沖縄文化圏に属します。
(地図を見れば分かりますが、九州よりも沖縄の方が断然近いです。
明治初期に行われた廃藩置県によって鹿児島県に編入されたため、
行政的に沖縄と分断されてしまったにすぎません)

沖縄の戦後が、
〈アメリカ〉と〈アメリカに寄り添う日本〉に翻弄されてきたように、
いや、それ以上に、徳之島を含む奄美は振り回されてきました。

1946年2月2日、
北緯30度以南の奄美群島の施政権が、
GHQ占領下の日本政府からアメリカ軍に移管されました。
アメリカはもともと、奄美を沖縄の一部と見なしていたようです。
しかし、それは奄美の人々の意向を無視して行われたものでした。

日本本土と切り離された奄美は経済的に大打撃を受けます。
出稼ぎなどの渡航は制限され、
商品(主に黒砂糖)の出荷も輸出扱いとされ関税がかけられました。
一方で、沖縄のように基地産業で潤うことがありませんでしたから、
奄美の経済は取り残されて疲弊し、
仕事を求めて沖縄に3万人近くの人口が流出したとされます。

それゆえ、本土復帰への思いは沖縄の人たちよりも強く、
復帰を求める署名運動には、99%を超える署名が集まったほどです。
(移設反対の集会に徳之島島民の半数以上、
約1万5,000人が集まった団結力は、
このあたりにルーツがあるのかもしれません)
しかし、その願いもむなしく
1951年、9月8日に調印されたサンフランシスコ平和条約では、
次のように記されました。

「第3条 日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む)、孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくとする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び寿民に対して、行政、立法、及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」

沖縄・奄美・小笠原は、日本の潜在主権が確認されつつも、
引き続きアメリカ軍の統治下に置かれることになったのです。

注 信託統治制度
旧植民地などの独立を支援するため、国連の信託を受けた国が非独立地域を統治する制度。監督機関として国連に信託統治理事会が置かれているが、1994年のパラオ独立を最後に任務の完了と活動の停止が宣言された。なお、アメリカは沖縄・奄美・小笠原を信託統治する旨の提案を、国連にすることはなかった。

ところで、アメリカが沖縄を本土から切り離して直接軍政を敷いたのは、
東アジアにおける戦略的な重要性から基地を置くためでした。
(11月16日付ブログ参照)
奄美にそのような価値はほとんどありません。
(このことを鳩山首相が知らないはずはないのですが)
そこで、復帰運動に手を焼いていたアメリカは、
早々と1953年12月25日に
「クリスマス・プレゼント」と称して日本に返還したのです。

注記
アメリカには、琉球人は日本人によって虐げられてきた少数民族であるとの認識があり、占領開始当初は日本から独立させるとの意図もあったようである(だからこそ同じ琉球文化圏に属する奄美を加えたと考えられる)。しかし、冷戦の激化とともに軍事目的が最優先とされるようになった。

しかし、悲運の歴史はまだ終わりません。
本土復帰により、沖縄に出稼ぎに行っていた人たちは
「外国人」扱いとなって職を追われてしまったのです。
アメリカの思惑による一方的な返還は、奄美の人たちにとって
「クリスマス・プレゼント」でも何でもなかったのでした。

徳之島の人たちの怒りは、基地そのものというよりも、
また再び自分たちの意向を無視して、
決めようとしている国に対して向けられているように思えます。
だとすれば、政府として第一にすべきことは、
きちんと島の人たちと話し合い、
日米安保体制や基地の必要性について理解を求めることであるはずです。

それとともに、本土に住む人たちも、
戦後日本の平和と経済的繁栄が何によってもたらされたのか、
その間に沖縄や奄美の人たちにどれだけ犠牲を強いてきたのかを、
もっと知る必要があるように思います。

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